事業再構築補助金に応募し、採択された場合、交付申請という手続きを取る必要があります。
この記事では、事業再構築補助金における交付申請の方法や、交付申請に必要な書類、交付申請で気をつける点等について詳しく解説します。
事業再構築補助金の交付申請をこれから行う方はぜひ参考にしてください。
Contents
事業再構築補助金の交付申請とは
事業再構築補助金は、採択された時点で事業計画の全額に対する補助金交付が確定されるわけではありません。
採択された後、交付申請という手続きを行い、さらに審査をされた上で対象経費として適切であると判断された事項に対して、補助金が給付されます。
交付申請を含む事業再構築補助金全体の流れ
交付申請はどの段階で行うべき手続きなのか解説します。
まず、事業再構築補助金の公募から補助金給付まで全体の流れを把握しましょう。
- 公募
- 申請(電子申請)
- 補助金交付候補者の採択通知
- 交付申請
- 交付申請の修正
- 交付決定
- 事業の実施
- 実績報告
- 補助金給付
交付申請は、採択通知があった後、事業を実施する前に行います。
交付申請を行う理由
最初に行う電子申請で採択された状態とは、事業の全体像・計画に対してOKをもらえたということです。事業にかかる全ての経費を補助金として交付されることが認められたわけではありません。
採択後、さらに細かな項目ごとに審査してもらうために、交付申請を行う必要があります。たとえば、最初の申請時点では「価格の妥当性がわかる詳細書類が必要」として認められなかった経費に対して、交付申請時に細かい見積書等を提出し、経費の妥当性を審査してもらいます。
つまり、交付申請を行うことで、より細かく補助金給付の対象となる事項を指定していくのです。
交付申請をスムーズに行う重要性
交付申請は、採択が決まったらなるべくスムーズに行う必要があります。
「全体の流れ」でも先述しましたが、交付申請を行い、交付決定した後でなければ、事業を実施することができません。つまり、交付申請のタイミングが遅くなるほど、事業の開始が遅れたり、事業開始のタイミングに交付決定が間に合わなくなってしまいます。
例外として、交付決定より前に事業に着手できるよう、事務局から「事前着手承認」を受けるという方法もありますが、基本的には事業開始前に交付決定する必要があるので注意しましょう。
交付申請の期間
事業再構築補助金における交付申請の期間は、公募回ごとに異なり、明確に決まってはいません。大体目安としては採択後30日程度です。
ただし、事業の実施期間には決まりがあり、採択後14ヶ月以内あるいは交付決定後12ヶ月以内の早い方となっています。
交付申請の期限が決まっていなくても、事業実施期間はどんどん短くなっていくので、なるべく早く交付申請を行う必要があります。
事業再構築補助金の交付申請をする手段
事業再構築補助金の交付申請では、初回の申請時と同じくJグランツのシステムを利用します。
申請時に作成したアカウントでGビズID公式サイトからログインしましょう。
具体的な交付申請の方法・流れ
交付申請は以下の流れに沿って行ってください。
- Jグランツから交付申請書をダウンロード
- 必要書類(見積依頼書・見積書・相見積書…etc)の準備
- 必要書類(決算書・履歴事項全部証明書…etc)の準備
- 必要書類(取得財産誓約書・交付申請書別紙)の記載
- 必要書類をすべてZIPファイルにしてJグランツで送信
交付申請の必要書類
事業再構築補助金の交付申請に際し、提出が求められる書類について解説します。
- 全員提出が求められる書類
- 法人の方のみ提出する書類
- 個人の方のみ提出する書類
- 該当事業者の方のみ提出する書類
の4つに分け、それぞれ詳しく説明します。
なお、必要書類に関わる情報は、必要に応じて改訂版が出されることがあります。
最新の情報は、事業再構築補助金のWebサイトでご確認ください。
全員共通で必要とされる書類
事業再構築補助金に応募する方全員が提出を求められる書類は、以下の通りです。
- 交付申請書別紙1
- 見積依頼書及び見積書
- 建物費、機械装置・システム構築費の追加書類
- 取得財産に係る誓約書
それぞれ詳しく解説します。
① 交付申請書別紙1
交付申請書別紙1は、交付申請を行う際にまずダウンロードし、用意すべき書類です。
申請者・事業の概要などが書かれており、JグランツからExcelのファイルをダウンロードして使用します。
ダウンロードした時点では応募申請時の入力内容が反映されており、変更が生じた内容とその理由を記載します。
② 見積依頼書及び見積書
交付申請の書類を準備するにあたり、最も重要となるのが見積書・見積依頼書です。
最初の電子申請で採択されたら、物件等の発注先の選定にあたって可能な範囲で相見積書を取り、その中で最低価格を提示したものを選定する必要があります。
提示した金額が市場価格と乖離している場合、経費として認められません。
見積依頼書は、発注先の業者と相見積を発行した業者の両方に宛てたものを作成しましょう。
③ 建物費、機械装置・システム構築費の追加書類
建物費を計上する場合、相見積書とともに設計書等を提出する必要があります。建物改修の場合は、見取り図が必要です。
機械装置・システム構築費を申請する場合には、価格の妥当性を証明するパンフレット等を提出しましょう。
機械装置を海外購入する場合は、換算に用いたレート表(公表仲値)も併せて提出が必要となります。
④ 取得財産に係る誓約書
「取得財産に係る誓約書」は、事業再構築補助金のWebサイトからフォーマットをダウンロードできます。
ダウンロードして必要事項を入力し、提出しましょう。
法人で必要とされる書類
事業再構築補助金の交付申請に際し、法人の方が提出する必要書類について解説します。
履歴事項全部証明書
「履歴事項全部証明書」とは、法務局に登記されている会社情報を証明する書類の1つです。
現在の会社情報だけでなく、過去約3年分の情報も併せて記載されています。
法務局の窓口で受け取り、あるいは郵送で受け取ることができます。
申請日から過去3ヶ月以内に発行されたものを提出しましょう。
決算書
法人で交付申請を行う方は、決算書を提出する必要があります。
直近で確定した決算書を提出しましょう。
ただし、応募申請時に直近の決算書等を提出した方は、追加での提出は要りません。
個人で必要とされる書類
事業再構築補助金の交付申請に際し、個人の方が提出する必要書類について解説します。
確定申告書
個人事業主の方は、直近の「確定申告書(第一表)」を提出しましょう。
ただし、応募申請時に交付申請時点における直近の確定申告書等を提出した方は、追加での提出は要りません。
青色申告決算書/収支内訳書(白色申告)
個人事業主の方は、確定申告の種類別に以下の書類を提出しましょう。
青色申告をしている個人事業主 | 青色申告決算書 |
白色申告をしている個人事業主 | 収支内訳書 |
ただし、応募申請時に直近の青色申告決算書あるいは収支内訳書を提出した方は、追加での提出は要りません。
該当事業者のみ必要とされる書類
該当事業者のみ提出が必要とされる書類について、主なものをいくつかご紹介します。
ここでご紹介する書類以外にも、状況に応じて提出を求められる書類があります。
詳細は、事業再構築補助金のWebサイトでご確認ください。
交付申請書別紙2
「交付申請書別紙2」は、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等の関連経費を計上する場合、提出が求められます。
事前着手承認を証明することができるメール
事業再構築補助金は、基本的に交付決定を受けてから事業に着手します。
ただし、交付決定より前に事業に着手できるよう、事務局から「事前着手承認」を受けた場合に限って、交付決定前に事業を開始できます。
その場合、受信した日が確認できる「事前着手承認」のメールのデータを提出する必要があります。
補助対象経費により取得(改修)する建物に係る宣誓・同意書
建物費を計上している申請者は、「補助対象経費により取得(改修)する建物に係る宣誓・同意書」を提出する必要があります。
この書類は、「交付申請書別紙1」のダウンロードデータ内に含まれています。必要箇所に入力して提出しましょう。
補助対象経費により取得する建物に係る宣誓書
建物費を計上し、かつ、応募時に「新築の必要性に関する説明書」を提出していない申請者は、「補助対象経費により取得する建物に係る宣誓書」を提出する必要があります。
ただし、新築であるにも関わらず、応募時に「新築の必要性に関する説明書」を提出していない場合、交付申請時に提出しても、新築に係る建物費は補助対象外となります。
海外旅費の詳細
申請枠によっては、海外旅費を経費として申請する場合があります。その際、海外渡航計画書と旅費明細書の提出が求められます。
事業再構築補助金の公式Webサイトから、データをダウンロードし提出しましょう。
総会の議決を得ていることが確認できる証憑
組合特例で補助金交付候補者として採択された場合、本補助事業に取り組むことについて、総会の議決を得ていることが確認できる証憑を提出する必要があります。
該当する方は、組合定款及び総会の議決を得ていることがわかる議事録を提出しましょう。
相見積書
交付申請の際、物件等の選定にあたっては可能な範囲で相見積書を取ることが望ましいとされています。
特に、契約先1者あたりの見積額の合計が税抜きで50万円以上になる場合は、同一条件における相見積書を取る必要があります。
業者選定理由書
何らかの特別な事情により、相見積書を取れない場合、あるいは最低価格を提示したものを選定していない場合には、その理由を示す必要があります。
上記に当てはまる場合は、業務選定理由書と価格の妥当性を示すことができる書類を併せて提出しましょう。
交付申請書を記載する時の注意点
交付申請書を記載する際には、以下の3点に注意しましょう。
振込手数料を経費に含めないこと
事業再構築補助金において、事業の実施に係る振込手数料は、経費対象外です。
提出する見積書で振込手数料を合計金額に含んでしまうことがないよう注意しましょう。
小さな金額ではありますが、振込手数料を経費に含んでしまったことで不備とされる可能性があります。
賃料における管理手数料は経費に含めないこと
建物費を申請する際、賃料における管理手数料は補助経費の対象外です。
誤って申請しないように注意しましょう。
また、見積書に記載される経費項目は、補助対象の経費であることが明確に分かるよう記載しましょう。
見積書は発注先の押印が必須
事業再構築補助金に限らず、中小企業庁が運営している補助金の多くは、交付申請時に提出する見積書に発注先の押印が必須です。
押印が抜け漏れていると、交付申請不備の対象となってしまうので、ミスがないように注意しましょう。
【まとめ】交付申請の書類集めは臨機応変さが必要
ここまで、事業再構築補助金の交付申請について解説してきました。
交付申請においては、必要な書類が多岐に渡り、準備しなければならないことも多いです。準備をしながら判明してくることもあるため、柔軟性を持って対応することが必要になります。それら全てを自分でやろうとすると、行程が多く非常に大変です。
そのため、交付申請で困った際には、サポートを依頼するのがおすすめです。
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